KMSJ TKF特別講演＆基調講演要旨一覧

講演者	題　目	要　旨
寬仁親王殿下	アナトリア考古学研究所
野中郁次郎一橋大学大学院教授	知の概念
福井威夫本田技研工業代表取締役社長	Honda知のDNAとその継承～先進創造を生みだす　企業風土について～	１９４８年の創業以来、高い目標を掲げ、自らの夢に果敢に挑戦するというチャレンジングスピリットが、後発の自動車メーカーでありながらHondaを現在の姿にまで発展させたのだと考えています。その背景には、先進創造を大切にする企業風土があり、我々は今後も会社のコアカルチャーとして継承して行きたいと思っています。その中で我々が最も大切にしていることは、一人ひとりが志を高く持ち、技を磨き、仕事の質を上げていくということであり、そのためには、一人ひとりの能力を最大限に発揮させる環境が必要だと考えています。またこれこそが、先進創造を生み出すための最も重要な要件であると考えています。　　講演では、Ｆ－１やワールドＧＰなどのレースへの挑戦、ＣＶＣＣエンジンから燃料電池車に至るクリーン技術への挑戦、更にはアシモやジェットといった夢の技術への挑戦を通して、先進創造を生みだす企業風土がいかにして生まれたか、またそれを知のＤＮＡとしてどの様に継承して行くかについてお話してみたいと思っています。
Robert H. Buckman, CEO of Buckman Laboratories	知に基づく組織の構築	Based on the book of the same title, Mr. Buckman will discuss how to determine the organizational values that are believed in by the members of the organization and create a climate of trust that is required for a knowledge sharing culture to exist. He will also discuss how to break down the hierarchies in a command and control structure so that you can build a knowledge-based corporate strategy. This strategy has to be customer centric where the desires of the customer determine the directions for the organization over time. By enabling the associates of the company to share their knowledge across time and space, you can move to a fast changing organization around the needs of the customer. By opening windows of opportunity for the associates of the company they can grow to be the best that they can be you can redefine the competitive equation around the knowledge that they can bring to the needs of the organization. It is through the empowerment of people to act in the face of the needs of the organization that you can move to being a Knowledge-Driven Organization.
Peter Salovey, Dean of Yale College	感情IQ
Leif Edvinsson, Universal Network Intellectual Capital	知的資本
神野直彦　東京大学大学院経済学研究科長	人間の経済を求めて	私達は歴史の「峠」を越え、「知識社会」に足を踏み入れようとしている。この「峠」を越えると、情報によって量が質に置き換えられる。そうなると、「知恵のある人（ホモ・サピエンス）」としての人間の人間的使用方法が飛躍的に前進する。所有欲求を充足するために、他者や自然と調和したいという存在欲求を犠牲にした工業社会から別れを告げ、所有欲求によって充足される豊かさよりも、存在欲求によって充足される幸福を追求する社会となる。そうした社会では蓄えることよりも、与えることが重要となる。つまり、1991年にヨハネ・パウロ2世がレールム・ノヴァルムで問うた「人間の尊厳と魂の自立を可能にする」経済体制を目指した偉大な歩みが始まることになる。
森田松太郎　 KMSJ理事長	欧米と日本の知の源流	日本人の宗教観は古来神道で多神教であった。ＡＤ５３８年に百済から仏教が伝えられカミとホトケの両方が日本に宗教として定着した。その後一神教のキリスト教が伝えられたが、カミ・ホトケの多神教と相容れずあまり普及されず今日に至っている。日本人は自然（例えば森、山、川、風、花など）の中にカミを見出している。キリスト教が伝来したときＧＯＤの訳にカミを使ったが、一神教のカミと多神教のカミ・ホトケとでは概念が相違している。多神教に抵抗のない日本人は本来的に自然を愛し外来文明を受容する下地があると考えられる。　一神教の国は原則として妥協を許さない傾向があり、自国のルールを国際的なルールにすることに優れている。多神教の日本は調和をベースに考える傾向が強い。一方、江戸時代は情報の共有に力を入れた時代であったことについて述べたい。