No.45 2011年5月16日発行 | 日本ナレッジ・マネジメント学会

メールマガジン

No.45 2011年5月16日発行

☆☆☆★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★☆☆★☆☆
   日本ナレッジ・マネジメント学会メールマガジン 
   第45号  2011/5/16
☆☆☆★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★☆☆★☆☆
 編集・発行:日本ナレッジ・マネジメント学会(KMSJ)事務局

□ 目 次
◆知の創造研究部会5月20日開催のご案内
◆第1回ナレッジマネジメント講演会開催の報告
◆第1回ナレッジマネジメント講演会兼多様性研究部会4月例会概要報告
◆第1回KM講演会参加記
◆第1回KM講演会の様子(写真)
◆2011年年次大会の写真付き詳細レポート<分科会第2会場の様子>を掲載
◆部会員出版物のご紹介

--------------------------------------------------

◆知の創造研究部会5月20日開催のご案内
(知の創造研究部会長 植木英雄)

第15回研究会を下記の要領で行ないますので、ご参集願います。
今回は日立建機?の後明 廣志氏から、日立建機における新製品の開発
(モデルチェンジ) にウエイトを置いたVE活動の展開について最新の
事例を発表して頂きます。後明 氏は日立CVS会の会長をされており、
日立建機におけるVE(バリューエンジニアリング)センター長を歴任
され、指導的な役割を果たしてこられた日本を代表するVEの第一人者
です。同社では、1970年のVEC活動の開始以来製品価値、顧客満足、
企業満足の融合を目指した活動を深化させてマイルズ賞を2度受賞し、
近年新製品の開発へとVE活動の展開を拡充しています。
今回は、まさにナレッジ創造経営を実践された成功事例を聞くことがで
きます。参加者の皆さんとの質疑・討論からVEとKMの新結合による
メタ・イノベーションの可能性について一緒に考えてみたいと思います。

日時: 5月20日(金)夜6時10?8時30分
会場: 大手町ビル533号室(東京経済大学葵友会オフィス)
   (地下鉄大手町駅ビル5階)
報告者:後明 廣志 氏 (日立建機?開発・生産統括本部事業戦略室
VMコンサルタント)
テーマ:「日立建機における新製品の開発 (モデルチェンジ) にウエイト
を置いたVE活動の新展開」
コメンテータ:児玉 啓 氏(マネジメント・コンサルタント)
(報告70分、コメント10分、質疑・討論60分を予定)
司会: 植木英雄・研究部会長(東京経済大学教授) 
参加費:一般参加者歓迎・無料、会場・資料の準備のため参加
    を希望される方は部会長までご連絡願います。 
連絡先:研究部会長 植木 h-21ueki@tku.ac.jp

未だ会場の席に余裕がありますので、皆様のご参加をお待ちしております。

 

◆第1回ナレッジマネジメント講演会開催の報告
(日本ナレッジマネジメント学会事務局)

すでに前号のメルマガ及びKM学会ホームページでご案内していました、
第1回「ナレッジマネジメント講演会」を4月20日 18:30-20:30に
東京都南部労政会館(大崎)で開催ました。
 
第1回は「多様性部会の4月例会の拡大版」と言うことで澤谷 みち子
部会長の司会でスタートしました。

最初に学会の広報担当の田中孝司理事より挨拶があり、
この「ナレッジマネジメント講演会」の趣旨、目的
「ナレッジマネジメントの最新、あるいは専門的な知識や情報などを
得る機会を設けて、会員の皆様が積極的に学会の活動へ参画できる
機会を増やしていくことを目指します」 と言うことをを話され、
今年度はこの講演会をほぼ隔月(4.5.7.9.11)に実施したい。(11月は
これから計画)。
会員はタダで非会員は1500円です。
会員になれば、このほかに毎月のメルマガ、年1回の会員投稿・査読
審査による論文集「研究年報」、年次大会での有名講師の基調講演や
特別講演、会員の研究発表がタダで聞けたり、自分で発表も出来る機会
が与えられます。

又本日の多様性部会もその一つですが他にも色々研究部会があり、それ
への参加、あるいは皆さんが提案して許可されれば新しい研究部会を作
ってもいいわけです。会員にはこんなメリットがあります。本日非会員
で有料での参加の方もぜひ会員になっていただき、今後の講演会にもど
んどんタダでご参加下さい。(会場笑い)と挨拶。
 
メインの講演は、北尾 真理子氏の「ダイバーシティを組織に活かす」
で、講師の北尾 真理子先生の巧みな演出による全員参加型の和気会々
で、且つ先生の親しみやすい関西弁丸出しのわかり易い説明と熱弁に魅
了され、しかも、最後は会場から厳しい質疑応答も飛び交う熱い例会
となりました。

参加者は27名と多く30名用の部屋が狭く感じられるぐらい大盛況でした。
以下に概要報告や参加記を掲載しました。
(記事:メルマガ担当理事 松本 優)
 


◆第1回ナレッジマネジメント講演会兼多様性研究部会4月例会概要報告
(学会理事、多様性研究部会部会長 澤谷 みち子)


今回はKM学会の講演会として幅広く参加者を募ったので30名近い方に
参加いただき、熱気あふれる例会となりました。
講師の北尾様の実体験に基づいたお話も興味深く、熱い議論もあり、
久しぶりに”知”が活性化されたのではと思っています。

【概 要】 
テーマ:「ダイバーシティを組織に活かす」 
講師:北尾 真理子(株式会社ダイバーシティオフィスKITAO代表)

1.ダイバーシティとは
  一人ひとりがもつ違い、異質性、個別性。見えるもの(肌の色、男女等)
  と見えないもの(国籍、学歴、経験等)が有る。

2.組織にダイバーシティが必要な訳
 (1)より良い組織作り
  一人の視点よりも二人以上の視点で物事を見ることが、より効率的で
  成果が得られるという事を実習を通じて体験。
  NASAやウエストポイント等でも組織構成においてダイバーシティを重視
  している点等についても話されていた。
 (2)優秀な人材の確保
  固定観念に縛られていると、企業の成長の基になる優秀な人材の確保
  が出来ない。
 (3)働くひとたちの充実感と、最大限の能力発揮のため
  一人ひとりが価値ある人間として認められるという点においてはESの視点
  からも需要
 最も大事なことは最大最高の価値ある成果。
 ダイバーシティ推進が目的ではなく、手段である。結果としての成果が見え
 ていることが大切。

3.ダイバーシティの活用推進に向けて、組織や個人が心がけるべきこと
<個人としては>
 フェアとイコールの考え方を理解し、常に自分とは違う個性から学ぶ姿勢を
もつ。
 自分がもっている固定観念に気づく役割に縛られない、自由な発想

<組織としては>
 組織として何故ダイバーシティに取り組むのかの共通の目標があること
 プロセスとしては通常のPDCAに基づき推進する。
 セミナーやトレーニングも重要

全体を通じて
 実際にダイバーシティ推進を担ってきた方なので、一つ一つの言葉に説得
力が有りました。
 一方で、目的を明確にして進める活動をしてきた経験からは、最近の周囲の
流れの中でダイバーシティ推進、そのものが自己目的化していないかという
危惧も感じていらっしゃるようでした。
 少子高齢化の流れの中で、女性の就業長期化、ワークライフバランスの推
進、そしてダイバーシティと世の流れが動いていますが、大事なことは「何の
為に」という所に立ち戻った組織全体の方向性であるということを改めて実感
しました。
 そして、ダイバーシティの推進は即効性のある活動ではないが、それを生か
すことが企業に取ってなくてはならないことなのだということを実感しました。

 最後に、質問者からフェアとイコールについての質問が有り、昇進昇格や、
短時間勤務、育児休職等様々な働き方が導入されている中で、フェアとは何
か、イコールとは何かということがまだまだ曖昧になままになっている面が有
るのではという課題が認識されました。

 私自身はスターアライアンスという、正に20カ国以上の国籍の人たちが同
じ課題について議論するという会議に参加していた経験が有ります。
そのときに多様な人材であるが故に議論が拡散するという経験は何度もしま
したが、どのように収束したかということを振り返ると、目的の明確化、言葉
の定義の確認、決定システムのルール化と言ったことを通じて議論を深めてい
ったという経験が有ります。
 様々な意見が有ることに価値はあるという共通の認識のもと、どのように
収束して一つの方向に導くかという点においては、日本の組織において今後
の課題となる点かも知れません。

●アンケートの結果については、以下のURLに掲載しました。
http://www.kmsj.org/archive/20110420questionnaire.pdf
●当日のスライドデータは以下の会員専用頁に掲載いたしました。
http://www.kmsj.org/member/20110420pp.pdf
 
(以上、部会長 澤谷 みち子)

 

◆第1回KM講演会参加記
(前原 はづき (ライフ・ポートフォリオ、多様性部会会員)
 
当日は、「講演会」としながらも4?5名1グループの島形式で講義が始まり
ました。
北尾先生の自己紹介・イントロダクションが終わると、自己紹介を兼ねた
グループワークのお題が出されました。
テーマは、『自分が忘れられない”一瞬”について語ってください』
語ってみると各参加者から、思いもかけないエピソードが次々と出てきます。
多様性とは、「属性が異なること」ではなく、「様々な個性がある」ことを
知り、尊重すること。
そんな一番大切なポイントに最初から気付かされるワークでした。
 
そして、講義は本論へ。
『なぜ、組織に多様性が必要なのか?』 基本的な問いでありながら、
結論が出にくい問いに対し分かりやすく、解説いただきました。
 
”多様性”は、それ自身が目的となるものではなく
より良い(強い)組織・グループを作るため、
また、より良い人材を獲得・維持するためのもの。
 
「組織の目的」(≒「成果の創出」)が共有されていれば
多様な価値観・視点によって議論が拡散しても、必ず収束する。
 
むしろ『多様性が保たれない組織・文化は、ハラスメントを引き起こす』
逆の視点から捉えることで、ダイバーシティ推進をお題目ではなく
組織に必要な取り組みとして、より深く理解できると感じました。
 
印象的だったキーワードは、
『ゴールデンルールからプラチナルールへ』
自分のしてほしい事を相手にも(=ゴールデンルール)という発想は、
あくまで均質な文化・価値観でのみ通用する考え方。
相手のしてほしい事を聞いてみる(=プラチナルール)ことが
「よかれと思って・・・」が引き起こす行き違いをなくすために、
私たちが日々のコミュニケーションにすぐ取り入れられる気遣いではないか
と思いました。
 
質疑応答では、「フェアネス」についての議論となりました。
賃金や労働時間など、ペイメントに関わる部分もあり
『何に対する”フェア”を大切にするのか』という共通認識が、
ダイバーシティを進める上でのキーポイントとなるのかもしれません。
 
最後に、北尾先生のおっしゃっていた「ダイバーシティ推進とは、
解決すべき課題でなく活かすべき強みを伸ばすこと」という言葉。
この視点が、ダイバーシティ推進を「べき論」でなく真に組織活性化につな
げるすスタートラインと言えるのではないでしょうか。以上


◆第1回KM講演会の様子(写真)
(メルマガ担当理事 松本 優)
 
以下のURLに第1回KM講演会の写真レポートを掲載しました。
http://www.kmsj.org/archive/20110420.pdf

 
 
◆2011年年次大会の写真付き詳細レポート<分科会第2会場の様子>を掲載
(メルマガ担当理事 松本 優)
 
3月5日に行なわれたKM学会の年次大会で今年は研究報告が多く8件ありを2つ
の会場に分け、本会議場(A会場)で5件X30分と分科会場(B会場)で3件X45分で
行ないました。
本会場では従来とおりの質疑応答無しの一方通行でしたが、分科会場では
新しい試みとして学会の研究発表らしく質疑応答時間を長く取り、コメンテ
ータも付いての充実したものになりました。その模様を講師陣のご協力に
より写真付きの詳細レポートとして報告します。

以下のURLでご覧下さい。
http://www.kmsj.org/archive/20110305b.pdf

 

◆部会員出版物のご紹介
(リスクマネジメント研究部会長 眞崎達二朗)

部会員 高原彦二郎氏が下記を出版されます。
「実務総合解説 中国進出企業の労務リスクマネジメント」
日本経済新聞出版社
高原彦二郎他編著
2,100円(税込)四六判 並製 352 ページ
978-4-532-31692-1
http://www.nikkeibook.com/book_detail/31692/

 中国で日系企業の労務リスク等経営リスクの解決に当たっている
コンサルタント高原彦二郎氏と、そのパートナーで、中央大学大学
院に留学後、日本への恩返しと、ストライキの現場解決に努力され
ている中国の陳弁護士(私も良く存じております)との合作です。
 類書にはない実務の参考書だと確信致します。中国に進出してい
る企業に是非読んで頂きたいと思います。
 森田理事長のご推薦を受け、沢山出ている類書との違いを認めて
貰い、日本経済新聞出版社に出版を引き受けて頂きました。

 

------------------------------------------------------------

============================================================
[日本ナレッジ・マネジメント学会 メールマガジン]
内容についてのご意見、ご感想及びメールアドレスの変更などは以下の
アドレスにお願いします。        (編集長 松本 優)
学会アドレス:kms@gc4.so-net.ne.jp

編集・発行:日本ナレッジ・マネジメント学会(KMSJ)事務局(森田隆夫)
問合先 日本ナレッジ・マネジメント学会事務局
TEL:03-3270-0020 E-Mail:kms@gc4.so-net.ne.jp