No.4 2007年9月3日発行

   
 日本ナレッジ・マネジメント学会メールマガジン 第4号

 

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 日本ナレッジ・マネジメント学会メールマガジン
 第4号   2007/9/3
☆☆☆★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★☆☆☆☆☆☆★★☆☆★

編集・発行:日本ナレッジ・マネジメント学会(KMSJ)事務局

□ 目次

[学会からのお知らせ]
◆学会ホームページの切替
(日本ナレッジ・マネジメント学会理事 岩岡 保彦)

◆第9回アジア・パシフィックKMフォーラム参加者募集のご案内
(日本ナレッジ・マネジメント学会理事 国際部長 進 博夫)

◆組織認識論研究部会が開催されます

◆東海部会ホームページを更新しました

[学会員からの寄稿、活動報告]
◆e-Learning World 2007 KM特別講演会に参加して
(日本ナレッジ・マネジメント学会理事 田中 孝司)

[転載記事]
◆メルマガ「クリエイジ」第163号 2007年9月3日より

[特別寄稿]
◆NPO法人国際戦略シナジー学会 特別講演
「兵法に学ぶ経営の道」第三回
(アサヒビール株式会社名誉顧問 中條高徳氏)

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◆学会ホームページの切替
(日本ナレッジ・マネジメント学会理事 岩岡 保彦)

 7月に仮設サイトとしてUPした新しい学会ホームページを
正規の学会ホームページに切替えます。
URLは従来通り、http://www.kmsj.org/index-j.htm です。

 なお、仮設サイトのトップページは、しばらく残します。
ブックマークに登録している方は、早めに切替えて下さい。

 掲示板の試行サイトへは、学会ホームページからリンクを
張りました。是非書込みをトライして、ご意見をお寄せ下さい。
掲示板試行サイトのURLは、http://kms.jpn.org/patio/patio.cgi
Login IDはkmsj、passwordはmemberです。

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◆第9回アジア・パシフィックKMフォーラム参加者募集のご案内
(日本ナレッジ・マネジメント学会理事 国際部長 進 博夫)

 この9月末にフランスで“The Knowledge Forum 2007 French-Riviera”
が開催されますが、その2ヵ月後、11月末(11/28-11/29)に香港で
"9th Asia Pacific Knowledge Management Forum”が開催されます。
香港KM協会で長年活動されており、日本KM学会の評議員もお願いし
ているウォルトロート・リッターさんから、日本からもぜひ参加し
て頂きたいと、フォーラムの案内が届きました。

 フォーラムのテーマは、
"Preparing for the Future ?Intelligence Gathering and Sense-making"
です。
激変し不確実なビジネス環境の中、戦略的意思決定のために、
あふれる情報から如何に意味を引き出し、知恵を活用し、将来への
予測を組織のKMに組み入れていくか、について議論しようという、
なかなか興味深く、チャレンジングなものです。
実践的ケースを中心に理論的発表も歓迎するとのことです。

 開催の詳細と応募要領は学会ホームページの下記urlからダウン
ロードして下さい。

http://www.kmsj.org/home/archive/APKMC2007-CFP.pdf

 応募締め切りは9月30日で、200語以下の概要提出となっています。
皆さん、ぜひ応募を検討してみて下さい。
応募される方は、学会にもご連絡を頂けるよう、お願い致します。

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◆組織認識論研究部会が開催されます

 9月8日に組織認識論研究部会を以下のとおり開催いたします。
ふるってご参加ください。
 なお、今回は会場が従来と異なっていますのでご注意ください。

2007年度第2回研究会プログラム                 

日時:9月8日(土)13:30?16:00
場所:神戸大学大学院経営学研究科 事業創造戦略支援室 
通称:神戸ハーバーランド教室
●JR神戸駅より徒歩5分
●阪神電鉄西元町駅より徒歩6分
●神戸高速鉄道高速神戸駅より徒歩8分

神戸市中央区東川崎町1丁目8番4号
神戸市産業振興センター5F

タイムスケジュール(プログラム)

13:30?14-30
前川 佳一(三洋電機)
「組織内における技術課題に対するリスク認識の不均質性」
14:40?15:40 未定

次回の発表者も募集しております。よろしくお願いします。

連絡先
大阪学院大学企業情報学部 喜田昌樹
電話:06-6381-8434(5314)

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◆東海部会ホームページを更新しました

 東海部会季報第3号(2007年7月)を公開いたしました。URLは
http://www.kmsj.org/tokai/ になります。今回は以下の二つの
論文を掲載しております。是非ご覧ください。

大西幹弘氏「=暗黙知とは何か(1)=」
久米克彦氏「進化するナレッジ・マネジメント」

東海部会ホームページ
http://www.kmsj.org/tokai/

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◆e-Learning World 2007 KM特別講演会に参加して
(日本ナレッジ・マネジメント学会理事 田中 孝司)
                           

 平成19年8月2日フジサンケイビジネスアイとe-learning コンソ
ーシアムでe-learning WORLD 2007が東京ビックサイトで開催され、
日本ナレッジ・マネジメント学会が協力を求められた。学会の森田
理事長とANAの澤谷さん、リコーの松本さんの三氏によるナレッ
ジの最新情報を提供した。

 演題は「日米欧のナレッジの潮流」森田松太郎理事長、「“安心、
あったか、明るく元気”人がおりなすANAブランド」澤谷みち子
さん、「リコーにおけるKM事例 企業内ブログの魁“おじさん通
信“の秘密」松本優さんであった。

 会場はビックサイトの1階で、主催者側の最初の予想では参加者
を150名位と見込んでいたが、事前申し込み者が230名に増え
たため当初予定していた会場を変更したとのこと。そして、最終的
には320名が参加し、講演会の間中も途中で退席するする人もな
く大変盛会であった。

 講演の中で気づいたこととして、ANAの澤谷さんは講演の中で
自社の説明にDVDを取り入れていた。このDVDは変化する画像
と音楽との組み合わせもよく、紹介する内容を一層高める効果をも
たらしていたし、印象的であった。
 DVDの効果を改めて認識したとともにこの強い印象から、これ
からは学会関係者が講演するときには、学会紹介のDVDを準備し
て学会の存在をPRしていくことも必要なのではないかと強く感じ
た。

 また、学会員が自分達で考えている以上に、一般の人はナレッジ
マネジメントへの認識、興味をもっているように感じた。そのよう
な意味でも、これからはKM学会の存在や活動内容を積極的に広め
ていくことも必要ではないだろうか。先に提案した学会紹介用DV
D以外にも、様々な機会を捉えて学会ロゴマークとか、先月制作し
た学会旗を積極的に活用していく必要があるだろう。

 最後の感想として、これからは様々な機会をつうじてナレッジマ
ネジメント関連の講演が学会に依頼される機会が増えてくると思う。
そこで、学会としても講演に送り出せる人材を認識しておくことが
必要になってくるだろう。そのためには学会事務局としても、学会
員の中で講演ができる人とそのテーマなどのリストを整備しておく
ことも必要ではないかと感じた。

 “会員の皆様の中で、『自分はこのテーマなら講演ができる』と
思う方は是非、事務局のほうへ申し入れして頂くようにしてはどう
か”という提案をもって、最後の感想のまとめとする。

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◆メルマガ「クリエイジ」第163号 2007年9月3日より

目次
1.ビジネス書「環境問題」書評
2.人生で感銘を受けた本
[編集後記]

1.ビジネス書「環境問題」書評 浦島和衛

 KES(京都環境マネジメントシステム・スタンダード)審査員で
もある私としては、ゴア元副大統領の「不都合な真実」の映画・著
書のヒットは気になるところであるが、一方、これに疑問を呈する
著書の発行も盛んである。
 ここでは、最近出たそうした内容の3書を紹介する。地球物理学
者に言わせると2.3万年後に氷河期が来るのは常識とのことである
が、そういう話は出てこない。今の論争はここ100-200年に限定さ
れた議論ということになる。

 私は、地球温暖化問題(あるいはCO2排出量問題というべきか)
は既に正しいかどうかという論争を飛び越えて、「商売になる」
という段階に入ったと感じている。

○「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」武田邦彦著 洋泉社
  2007年3月
  http://www.creage.ne.jp/app/BookDetail?isbn=4862481221

 著者は「リサイクル幻想(文春新書)」と同様、今のリサイクル
では環境が益々悪化すると主張する。本書では例として、ペットボ
トルリサイクルを始めたことによって資源が7倍使われ、ゴミが7倍
に増えたとして、早くリサイクルを止めなければならないと言う。
有料化が話題のレジ袋は余りものの石油の活用法だから、使わなけ
ればその分、捨てるだけになると一刀両断である。
 
 地球温暖化については、温暖化ガスのせいだけではなく太陽の活
動が盛んになった可能性が報道されないのはおかしいとした上で、
南極の気温はむしろ低下していること、北極の氷は溶けても海水面
は上昇しない(アルキメデスの原理)ことなどを示している。海水
面が上がるとすれば、海水温が上がって海水が膨張する分だけであ
るとしている。

 他にも「森林はCO2を吸収しない」、「水素をエネルギーとして
使うのと、石油をそのまま使うのとではCO2の排出量は同じである」
とも指摘している。
 
 結局、地球温暖化問題の本質は、我々の活動があまりにも激しく、
地球の気温を左右するまでになったということであり、その変化が
急激だということであるので、対策は我々の活動を減らすことしか
ありえない、となる。

 緊急に解決しなければならない環境問題は、温暖化対策よりもむ
しろ石油がなくなること、社会が複雑になって著しく安全が脅かさ
れることへの対応策だとしている。石油がなくなった時に日本人が
生き残れるような環境対策こそが最優先されるべきであり、それに
は日本の農業環境の改善が課題である、という主張には賛同したい。
もう一つは、日本人の美点であった公共心、道徳心が落ちてきて安
全が脅かされることは、大気や水の汚染よりも危険性が高い環境問
題だとしている。

○「地球温暖化は本当か??宇宙から眺めたちょっと先の地球予測」
  矢沢潔著 技術評論社 2007年1月
  http://www.creage.ne.jp/app/BookDetail?isbn=477413001X

 地球温暖化問題は20年前に出された1人の大気学者ジェームス・
ハンセンの警告で始まったが、本書では同じ米国で2万人を超える
科学者や知識人が反対の署名をしているという。京都議定書に関し
ては、「温室効果ガスの排出を抑える新しいクリーン技術を日本企
業が世界市場に売り込めるチャンスとして、日本がこだわっている」
と見られており、この国際協定は既に科学ではなく政治的ツールと
なっているので、自然消滅するか、実態が大きく変質せざるを得な
いとしている。

 この本の主張は、地球全域の大気現象の予測モデルには限界があ
り、地球温暖化は可能性の問題であり、地球温暖化の専門家と呼べ
るような人はいない。明らかでない問題に対しては常に懐疑的であ
るべきだということである。

○「環境問題の杞憂」藤倉良著 新潮新書 2006年11月
  http://www.creage.ne.jp/app/BookDetail?isbn=4106101920

 1冊目でも触れられているが、環境問題というのは環境が悪いと
いうことで話題にされるが、「現在の日本の環境は非常にいいんだ」
というのが本書の主張である。以下、本書の主張を抜粋して列挙す
る。

 「日本が世界で一番健康で長生きできる国」なのは環境が良いか
らである。環境大国といわれるドイツと比べても、1人当りの温室
効果ガス、窒素酸化物、都市ゴミ、家庭ゴミ排出量はいずれも少な
い。しかも日本の環境(大気、水質)は年々良くなっている。

 マスコミが大騒ぎした環境ホルモンやダイオキシンは何だったの
だ、ということについては「健康に悪影響を及ぼす」という証明は
出来ても、「健康に悪影響を及ぼさない」という証明は本質的に不
可能であるということに辿り着く。

 年間死亡リスクで見ると、喫煙が(10万分の)74、自殺が25、入
浴が10、交通事故が6、火事が2となっており、環境問題では寿命は
縮まない。ガンによる死亡率は確かに増加傾向にあるが、年齢の要
素を差引けばガン死は減っている(長生きしたためガンで死んでい
る)。ガンの最大の原因は食べ物である。食べ物の安全は質より量
の問題である(遺伝子組み換えやBSEよりも、うるさい日本につき
あう必要がないと米国の農家に見放される方が恐くないか)。

 水道水は最も安全な水である。水道水(47物質の水質基準)が安
心して飲めないなら、ミネラルウオーター(17物質の水質基準)は
もっと安心して飲めない。

 CO2が本当に地球を暖めているかどうかという議論は、科学的に
完全に決着したわけではない。50-70年代の寒冷化は太陽エネルギ
ーの変動や火山活動などの自然要因だけでも説明がつくが、近年の
温暖化についてはCO2の放出などの人為的な要因を考慮することに
よってのみ説明できる。それでCO2が疑われている。

 環境に気を遣いすぎるあまり、マスコミに時々出てくる怪しげな
危険情報に惑わされ、ストレスを溜める必要はない。鵜呑みにせず、
自分で調べる必要がある。

2.人生で感銘を受けた本 浦島和衛

○「「狂い」のすすめ」ひろさちや著 集英社新書 2007年1月
  http://www.creage.ne.jp/app/BookDetail?isbn=4087203778

 この本は感銘を受けたというよりも、帯の「人生に意味なんてあ
りません」という文句に引き付けられて読んだ。というのも、私も
色々悩んではみたが、今のところ「人間も他の動物と同じく、ただ
生まれて死んでいくだけの存在」と考えるに至っているからである。

 もう一つ、この本で「誰だって他人に迷惑をかけている」という
のも私の同調するところで気に入ったところである。この二点は、
私自身そう思っていても、なかなか他の人に面と向かって話題にす
ることが憚られる事柄である。「他人に迷惑を掛けるな」という躾、
「他人に迷惑を掛けなければ何をやってもいい」という主張がまか
り通る日本であるが、「誰だって他人に迷惑を掛けている。我々は
迷惑を掛け合って生きているということを自覚していれば、自ずと
行動が変わるはずだ」と言いたい私にとって、同様の考えを持って
いる人がおられたのは嬉しいことであった。

 失礼ながら著者については全く知識がなく、400冊以上の著作が
あると書かれているが、この人の著作を読んだのは初めてであった。

 「弱者にとって世間は冷酷なので、世間=常識=強者に振り回さ
れる生き方より、世間を信用しなければ自由に生きられますよ。そ
のために自分を弱者と自覚すると卑屈になりやすいので、"狂者の
自覚"を持って狂っているのは世間の方だと考えれば、自分はまと
もになれますよ」というのが本書の主張である。気に入ったフレー
ズを以下に幾つか紹介したい。

 「現代日本では、99%の人が金儲けを目的に生きています。それ
ほど儲からなくても、商売が楽しいから商売をする。それがまとも
な考え方ではないでしょうか」
 「世の中の役に立つ人間になろうとする、その卑屈な精神がいけ
ません。人間は生きているだけで世の中の役に立っているのです」
 「人生の旅には目的地があってはならないのです」

 ガンになったら「せっかくガンになったのだから、もう少しガン
患者を続けよう」というのが自分自身に言って聞かせるべき言葉で
ある。そのまんまの自分であっていい、そのまんまの自分を受け入
れる権利がある。

○「右であれ左であれ、わが祖国日本」船曳建夫著 PHP新書
  2007年1月
  http://www.creage.ne.jp/app/BookDetail?isbn=4569658946

 この本の題はジョージ・オーウェルのMy Country Right or Left
という文章にならってMy Country, Japan Right or Leftのつもり
だそうである。

 国家を論じること自体を避ける傾向のある中で、著者は国家を議
論する必要がある理由としてその「単一性(自分の居る国は一つし
か選べない)」と「拘束性(その国の制度から逃れられない)」を
挙げている。その中で私たちは国のやり方、方式だけを変えること
ができる。しかし、そのためには過去を知る必要があるとして、16
世紀以降の過去500年の日本と外国の関係を振返り、今後の可能性
の方向性を示唆している。

 私は著者の提示している枠組みをベースに議論を進めることによ
って、とかく各論に陥りがちな、憲法問題、外交問題を含め、「こ
の国のかたち」としてあらゆる問題を統一的に考えた全体像が描き
出せる可能性を感じた。と同時に共感するところもたくさんあり、
多くの人に読んで貰って議論の輪を広げられたらと思う。
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浦島和衛(うらしま かずえい)略歴
 1950年鹿児島県生まれ、東北大学工学部卒。住友電気工業(株)
情報システム部門に20年勤務(関西11年、関東9年)。Uターンして
1995年浦島コンサルタント事務所を開設し、現在に至る。地元零
細企業の経営改善に注力。中小企業診断協会鹿児島県支部副支部長、
ITC鹿児島副会長、鹿児島県技術士会理事。中小企業診断士、
技術士(情報工学部門)、情報処理技術者(システムアナリスト)、
ITコーディネータ(インストラクター)、EMS・KES審査員、日本経
営品質賞セルフアセッサーなど。
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[編集後記]
 浦島和衛氏にはITコーディネータ時代にお世話になり、早い時期
からクリエイジの会員となり利用していただいいている。
 過去50年間の環境問題の推移を見て感じるのは、自動車や工場の
排気ガスにみるように、知恵を出せばある程度は制御可能であると
の思いである。子どもや孫のために、一人ひとりが一層の知恵を出
して行ければと思う。
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今日のコラム「来年度概算要求」
 国の2008年度予算の概算要求が出そろった。一般歳出47.3兆円
(国民一人当たり37万円、以下同)、地方交付税交付金など16.2兆
円(13万円)、国債費22.2兆円(17万円)の計85.7兆円(67万円)
である。各省庁からの要求額は、公共事業関係費などの21%増要求
などもあり、一般歳出規模は50兆円強にものぼる。
 予算を多くとる公務員が出世する人事評価を改めない限り、政府
は肥大化するのではないだろうか。公務員の少数精鋭化と予算削減
を評価する人事制度の導入が歳出削減の決め手であろう。

「露の世は露の世ながらさりながら」一茶

(推薦書籍)
官邸崩壊?安倍政権迷走の一年
http://www.creage.ne.jp/app/BookDetail?isbn=4103054719
経済財政戦記?官邸主導小泉から安倍へ
http://www.creage.ne.jp/app/BookDetail?isbn=4532352649
構造改革の真実竹中平蔵大臣日誌
http://www.creage.ne.jp/app/BookDetail?isbn=4532352487
行政組織とガバナンスの経済学?官民分担と統治システムを考える
http://www.creage.ne.jp/app/BookDetail?isbn=4641162808
小泉官邸秘録
http://www.creage.ne.jp/app/BookDetail?isbn=4532352444
官のシステム 行政学叢書 4
http://www.creage.ne.jp/app/BookDetail?isbn=4130342347
経済政策を担う人々?官の構造改革
http://www.creage.ne.jp/app/BookDetail?isbn=4535554455
「官製市場」改革 シリーズ現代経済研究 23
http://www.creage.ne.jp/app/BookDetail?isbn=4532132983
官の詭弁学?誰が規制を変えたくないのか
http://www.creage.ne.jp/app/BookDetail?isbn=4532351049

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株式会社クリエイジ 代表取締役社長 西脇隆
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◆NPO国際戦略シナジー学会 特別講演
「兵法に学ぶ経営の道」第三回(※4回に分けて掲載します。)
(アサヒビール株式会社名誉顧問 中條高徳氏)

【中條】それから、CIというのは、これは組織活動で、コーポレー
ト・アイデンティティーと言う。うちの社員もあまり英語の達者な
のがいないから、そんなこと言うなと言っていた。どうしても英語
で言いたければ「コンセントレーティブ・イディー」。これもあま
りいい格好じゃないけど、「哲学の統一」と訳せと僕は言っていた
んだけど、今、日本では「企業イメージの統一」と訳しています。
組織というのは2人以上ですから、このベクトル合わせの姿にしな
いと、要するにトップリーダーの信念の強弱と組織のコンセンサス
の強弱は正比例します。ですから、コンセントレーションを達成す
るためにトップリーダーの不足分を穴埋めする手法をCIと言うの
です。

 例えばあなたの会社やあなたの社長がすぐれていて、あなたのた
めに社員が全部身をささげる。早く火の中、水の中をいとわず進め
という命令を欲しいなと思うぐらいの社員のところだったら、何も
やらなくていいのをCIと言うのです。ですから、西元さんがいら
っしゃるから、我が軍の創業は明治7年1月23日なんです。私が毎日
43年間体操している北の丸公園で誕生した。アバウト3,000名で、
この一連隊が誕生した。何と、見て見ると、その日に明治天皇がお
考えなのか、もっとすぐれものの、近代勉強に行った連中のだれか
が発案したのか、明治天皇が連隊長を皇居にお呼びになって、親し
く連隊旗を親授して軍旗親授式という物語をつくった、できたその
日に。わかりますか。

 そうすると、先ほども言ったように、連隊長を嫌いだなという兵
隊がいたら、実戦に出たら、その嫌いだという兵隊のところから水
が漏れて作戦を失敗する例があまりにも多かったわけね。そうする
と、この一連隊にいたかどうかわかりませんが、いたと思って。そ
うすると、今よりもはるかに天皇の価値を高く教え込んであった明
治ですから、へー、天皇が直接くださったのか、おれは連隊長を嫌
いだが、連隊旗のために命ささげると、こうなるじゃない。だから
穴のあく部分を補てんする。だから私は子供のころは末は総理大臣
か陸軍大将なんてあり得ないことを考えていたけど、だんだん現実
に近づいてきた。士官学校へ行っているときは笑って死ねる連隊旗
手が夢だった。連隊旗手になるためには、士官学校出身3人仮に配
属になったら、卒業時の成績のいいやつでないと連隊旗手になれな
い。そういうものです。わかりましたか。だから、社長が立派だっ
たら一銭もかけないで済むのがCI。

 しかし、人というものは完璧たりえない。だからみんなバッチを
つくったり、社歌をつくったり、社旗をつくっているんですよ。要
するにベクトル合わせ。この本質だけわかっていただきたい。東京
で金持ち会社が3回も社章換えをしているんだけど、金で勝てるな
ら努力のしがいがないじゃないか。この二つ使っただけで、あとは
すべて兵法を参考にして生れ替り作戦を進めました。

 専門のことだから、勉強している皆さんだから言わなくて済むの
かもしらんけど、やっぱりもったいないよね。兵法と言われただけ
で、若者や女性たちは戦争と同じテーブルでとらえているから注目
しないのでしょうね。もったいない話だ。そうじゃない。戦争はあ
ってならないものですけどね。なぜかと言うと、今、日本では殺人
が多くなってきたけど、殺したらみんな無期か死刑になります。そ
れだけ重いものを、戦争に入ったら、早く相手を殺せと言うんです
よ。相手を殺さなかったらおまえが殺されるというのが戦争の原理
原則なんだから。だからあってならないものなんですよ。しかし、
先ほど申し上げた、起きるでしょう。

 ところが、私ども職業軍人というのは、もうそんなことは百も覚
悟の上で参加しているんですが、我々の指揮する兵隊さんは皆さん
と一緒なんだよ。女房と会いたいんです。我が子を抱きしめたいの
が兵隊の本質です。それなのに、戦争予算未達では殺されるんです。
失敗して負けたら。ところが、今の世の中は未達でも、行かない理
由の挙げ方のうまい社長さんがぼんと増えているから、小泉総理が
悪いんだとか、竹中、あんなのを勘定元にあるからだってね。いや、
事実そういうことがあるかもしれないけど、おまえの会社、どうし
て成績が上がらないんだと言ったら、みんな総理が悪いんだ、竹中
経済相が悪いんだ、おれは悪くないと言っているんですよ。そうい
うのは「他責の羅列」と私は名づけている。人様のせいだ。これで
は勝ち組に回れるはずがありません。戦でそんなことをやったら、
どうして戦に負けたんだ、はい、敵が強過ぎたからであります、敵
に背後を襲われたら背中が留守でした、いや、雨の作戦準備が不十
分だ、こんなものは百、二百並べたってへの突っ張りにもならない
のよ。それで殺されるんですから。要するに罪なき兵隊が殺される
んです。ですから、我々の先人たちがいろいろ考えて、その不幸せ
が出ないためにはどうしたらいいかと考えてみたら、勝つ以外にな
かったわけだ。それで、その勝つ論理を我々の先輩たちが、実際に
流した血の中から、どういう作戦をしたら勝てたのか、どんな仕組
みをしたら負けたのか、洗いざらい洗って編み出してきたものを
「兵法」と名づけた。

 そして、命の論理ですから、いいかげんな教えでは困るでしょう。
ですから、当時の先進国であったイギリス、フランス、ロシア、ド
イツの4カ国の兵法で、定理、公理までに磨き上げたものが今残っ
ている「兵法」なのです。再度言っておくけど、戦争はよくない。
だけど、兵法は勝つ「ことわり(理)」の教科書なんですから、こ
れは金銀ピカピカの教えが一杯です。もったいないよ。ですから私
は全て兵法に習って作戦を進めたのです。

 それから、皆さん、戦争というのはほんとうに1日でさま変わる
わけです。だから、チャンスだと思っていたら、すぐピンチがやっ
てくる。だから、ピンチをチャンスと置きかえる明るい資質なきリ
ーダーは指揮の座から去れとたたき込まれた。これはそのまま我々
の今の事業にも当てはまるのではないでしょうか。変化の時代だか
ら。新聞、テレビを見ていてもそうでしょう。きのうの勝者がすぐ
落っこちるじゃない。だから、そのときにリーダーは、ピンチをチ
ャンスと置きかえる明るい資質なき者はリーダーの座を去れと言う
んです。皆さんがいい成績を上げて他人に見てほしいときはだれも
見ていません。危なくなると、社長というのは一番情報を握ってい
るんですから、つぶれたら、あした路頭に迷う社員は、情報を一番
つかんでいるトップ社長はこの事態をどう考えているか、つらつら
見るものです。そのときに、顔面蒼白で、弱ったな、困ったななん
てやっていたら、情報の薄い社員はさまよいます。だから、この要
素は簡単なようで大事なことよ。ピンチをチャンスに置きかえる明
るい資質と。

 だから私も、生来、6人兄弟の末っ子の、男2人の次男坊と言っ
たら大体おめでたいわね。ましてや、1回目は、国家が破れて野に
下って、そして今度は、近代国家、日本は、富国強兵で歩んできた。
要するに、高級指導者、官僚づくりのためにつくったのが旧制高校
だったんです。そうだ、せっかく負けたんだから、よし、おれは手
間暇かかっても旧制高校へ行ってみようと言って松本高校へ。山は
うそつかないというので、山岳部で名をなしていた旧制松本高校を
受けて、受かって、発表になった途端にマッカーサーから追放です
よ。これが第2の挫折。

 だけど、明るくとらえ、明るくとらえ、いや、これは神から授か
る試練なんだと受け取った。それで旧制高校へ入ってみたら、士官
学校の全く裏側とも言うべき教育の場であった。士官学校のほうは
鋳型にはめて、もう理想の形をつくって、そこにはめ込む教育。旧
制高校というのは、でたらめもいいところだな。全寮制度で、全部
入るのよ。それで、寮に入ってみたら天井も壁も落書きだらけ。2
階からおしっこして寮の雨だと言ってはばからずだよ。それで、町
の警察の看板を産婦人科の看板とかえるとか、同じころ一緒に学ん
だドクトルマンボーの北杜夫の小説を読めばよくわかるね、あんな
ことをやっていた。それで、勉強をあまりしない教授は、ふとん蒸
しとして、寮に連れてきて、ふとんを何枚も重ねて反省を促す。よ
く窒息しなかったと思います。しかし、そのころ一番身につけたの
は読書ですよ。そしてクラシック音楽。要するに、自生性つまり自
由と自律をきわめようと言うんだね。それで、高等商業もあるし、
高等工業もあるし、高等農林もあるから、それはすぐ実学を教える
から、急ぎたい者はそちらに行けと。こちらは、迂遠のようだけど、
人間の幅と奥行きをつくるなんて生意気なことを言っている先生も
いた。おれもちょっと誇っていいんじゃないのかな、文武両道を学
んだことを。私が意識的にしたんじゃなく、負けたから。おれも士
官学校でやってきて、旧制高校もやって、年数はかかったけど、そ
のジグザグ人生がアサヒビールの指揮に私は役立ったと思います。

 後残った時間で実際の兵法のところをやりたいと思いますが、そ
の前に、大事な日だから、今、日本の中で、経営者としても家庭人
としても、いろいろな勉強の場でも理解していただきたいのは富の
課題です。世界の一、二の富を築いたというのは、先ほどの勉強で
わかるように、神様の恵みにもよって、そしてみんなの先人が汗水
たらしたというのに、こういう朝鮮動乱のような贈り物をいただい
て、神風によってなったものだけど、しかし、世界の一、二を誇る
富を築いたということは、皆さん、これをどうとらえていますか。
これは全く懸念がありませんよ。今、65億の人類があなたと同じ
ように頑張っている。いろいろな顔つきして、肌のいろいろな人が
頑張っている。それを調べてみると、すべて貧乏は嫌い、ハングリ
ーは嫌いですよ。すべて富を目指しているんだから、日本という国
家が世界の一、二を、こんな小さな国で、資源がないのにたどり着
けたというのは、素直に神様に感謝していい課題です。

 しかし、私が申し上げるのではないから素直に聞いてほしいと思
いますが、この富という課題はあらゆる学者が研究しているんです。
そして、結論としてこのように言っています。富は全人類が目指す
課題だが、たどり着いてみると、不思議や不思議、目指すエネルギ
ーが弱くなって、耐える力がなえると教えています。だから、目指
すエネルギーが弱くなって夢を見なくなるわけです。そして、みん
な日本の今の青年、若者たちが、全くね。それはそうですね。今あ
る生活が満足度に到達すると、北朝鮮が何をやろうが、おれに拉致
もないことで、関係ないよ。中国が軍事費を毎年2けたと言っても、
そんなもの好きにやらせておいたらいいじゃないか、おれは今ゆか
暖房で朝からビフテキ食っているんで、これで満足やとなるのは当
たり前じゃないですか。ですから、夢を見なくなるという課題が皆
さん組織のリーダーとして絶対大切、注目すべきことじゃないでし
ょうか。

 そして、忍耐力がなければだめだ。頑張れと言ったら、こんな戦
前のようなことをやっている会社はやめる。そんなやつはやめたほ
うがいいんですよ。だけど、せっかく入社のコストをかけて集めて
いるのに、目指すエネルギーが弱くなって、耐える力がなえるとい
うトータルから、おたくで入社試験をして入ったというものの、毎
年その人たちの構成比率が高まっていくというのは、組織リーダー
として注目しておかなければいけません。

 時間の関係上、結論を言うと、どうしたらいいのだろうなと。も
う精神論だと思う。61年前、負けてから、若者たちが想像する以
上のひどい状態だった。食うものもなければ、着るものもない。そ
れを、追いつけ、追い越そうと言って、日本人すべてが精神論で頑
張ってきたからこそ神風さえ来たんじゃないのかと思いたくなる。
精神論である。それを今、何でも富にただれて、そういう要素が全
く薄くなっているから、だから皆さんはまず精神論に注目してやっ
てほしいと思うんです。しかし、ただやったら、みんな場が甘くな
っているから、うちの社長、きのうどこの会へ行ってきたのかな、
急にかびくさいことを言い始めたとか、言い始めるのが天下の相場
ではないでしょうか。

 だから、これもさっき言ったとおり、私も、ハーバード理論にま
さることを発見しないと勝てないわけだから、心理学もやった。話
し方教室も通ったんですよ。あるいは色彩学も勉強したんです。と
いうのは、ビールというのは広告が多いでしょう。ですから、訴求
力が強く、好感度の高い「色」の組み合わせはブルー、レッド、ホ
ワイトの組み合わせと教わったですから、私のやっていたときの各
全国の、例えば羽田から東京へ入るところの倉庫の上の大きな看板
とか、銀座の大きな看板、みんなブルー、レッド、ホワイトの組み
合わせでしょう。覚えやすく言ったら、ブルー、レッド、ホワイト
はフランスの3色旗。その後、港区の芝あたりに出ているのは缶ビ
ールが多くなってきた。あれは私が離れてからなのね。黄色が入っ
ているでしょう。

 それから、今の精神論を解くときの手だてです。心理学でこう言
って教えている。権威のある者には部下が耳を傾けると言うんです
よ。だから、皆さんも一生懸命朝礼で頑張っていらっしゃるでしょ
うけれども、毎日だから、社長、偉そうなこと言っているけど、お
れのなれの果てだと、こんな考え方も部下は抱くこともあるのです。

 さあ、そこで、この心理学を利用すれば、権威には部下は耳を傾
けるという項目があるんです。もっと具体的に言うと、今、夢が大
事だ、志が大切だということを部下に説くとき、吉田松陰というの
はおたくの本1冊も読まない社員だって知っている人じゃない。つ
まりは権威じゃない。その吉田松陰が、「志定まれば、気ますます
盛んなり」と言っていることだけは間違いないんですよ。志すとい
うのは、心の指す方角を定かにするということだから、つまり夢見
ることなんですよ。だから、志をしかと立て、夢見れば、気――気
というのはリーダーの一番発する表現じゃない。元気を出せの気、
覇気を持ての気、やる気を出せの気です。どんどん出るというのだ
から、これを利用しない手はないじゃないの。

 そうすると、社長が志高く生きていこう。社長、急に何かきざっ
ぽいことを言い始めたなと思われるとき。「おい、しばし待て。あ
の日本の近代化をリードした吉田松陰は30歳で国のために殉じて
いったんだぜ」というぐらいのことをちょっとつけて、「その吉田
松陰は、志定まれば気ますます盛んになると説いている」と言った
ら、部下にしみ通るのだったら使わない手はないじゃないの。だか
ら、リーダーというのは、麻雀やってもいいさ、ゴルフやってもい
いさ。そんなもの、四六時中緊張なんかできるはずがない。やって
もいいけど、こういう使うものを発見してくるぐらいの学びはしな
ければ。だから、私は本を売りに来たわけじゃないけど、あんなも
の1,400円か1,500円のものでしょう。遊ぶときは財布から
軽々しく出るのに、本屋さんへ行ったら、本には……。いや、日本
は活字離れですよ。

 私は、ほらを吹くようで言いにくいけど、80でも、年寄りだか
ら朝は大体4時ごろ起きるの。1時間は新聞5紙の、前の日のもの。
女房だって新聞を読むもの。だから、前の日のやつの項目別の切り
抜きをつくっているの。あれを読んで勉強する。それで、3年後に
もう一度やってみると、要らないのは引き下げていくわけだ。その
エッセンスを集めたものというのは、もうこれが、それだけのもの
ぐらい実をつけていたら大丈夫ですよ。それで、本を読むというの
は、さっき差し上げたところにあるかな。「今月の父」という人間
学の本の巻頭言には僕は読書というのを書いていますけど、また読
んでみてちょうだい。

(次号へ続く)

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